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2020東京オリンピックとチャイニーズタイペイ、台湾の公民投票
2018 / 11 / 25 ( Sun )

昨日11月24日は、台湾の統一地方選(九合一)投開票日でした。

統一地方選では高雄市長選が注目の的でしたが、
P_20181123_164823.jpg

公民投票(住民投票)も同日実施。
昨年、民進党と時代力量の主導で公民投票の実施/成立条件が
以下の通り大幅に緩和されたため、今回は10項目もの投票が実施されました。
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改正前:
・有権者数の5%以上の署名で実施
・投票率が50%以上 かつ 賛成が反対を上回る ことで成立

改正後:
・有権者数の1.5%以上(約28万人以上)の署名で実施
・賛成票が25%以上(約494万人以上) かつ 賛成が反対を上回る ことで成立
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10項目のうち、何かと話題となっていたのがオリンピックへの出場名義等を
問う公民投票で、内容は以下の通り。
--------------------------------------------------------------------
【13:東京奧運台灣正名】
台湾(Taiwan)の名称で、あらゆる国際競技大会や2020年東京五輪に
出場参加することに同意するか否か。
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中華オリンピック委員会(台湾の組織)は「選手の出場資格が最も重要なので
感情的に投票しないで」と成立を牽制(そもそもIOCは名義変更を認めない方針)。

東奧正名公投 中華奧會:不要情緒性投票
(2018年11月20日付 聯合報)

しかし、東京奧運正名行動聯盟(要は独立派)は「出場資格に
影響することはない」と公民投票で賛成票を投じるよう訴えます。
が、なぜ影響しないと言い切れるのかは全くもって謎。

東奧聯盟質疑林鴻道脅迫選手聯署 中華奧會:歡迎舉證
(2018年11月20日付 聯合報、写真も)
東京奧運正名行動聯盟20181120

更には、当事者である選手有志が反対票を投じるよう訴える会見を。
曰く「抜歯する時、歯科医は”痛くないですよ”と言いますよね。
なぜなら痛いのは患者本人であって歯科医ではないからです」と独立派をチクリ。

反東奧正名公投 運動員:若以難民出賽何來感動
(2018年11月21日付 聯合報、写真も)
選手有志20181121

一方、政府はといいますと、體育署副署長が記者会見を開き
「政府の立場としては一貫してオリンピック憲章を遵守し、
選手の参加する権利を保護していく方針に変わりはない」とコメント。

反東奧正名 體育署副署長:保護選手參賽權
(2018年11月21日付 聯合報)

何だかちょっと収拾がつかない事態になりつつありましたが、結果は
賛成4,763,086票、反対5,774,556票で「不成立」。
投票率は55.89%ということで、実はそんなに関心が高い訳でもなかったと
いうオチでした。
東京オリンピックには従来通り、チャイニーズタイペイ名義で参加することになりそうで、
今頃、胸をなで下ろしている人がたくさんいるのではないでしょうか。

ちなみに、現在使用されているチャイニーズタイペイという名義は
紆余曲折を経て1981年のローザンヌ協定で合意したもの。
それまで「台湾」名義での参加は、1960年ローマと1976年モントリオールで
IOC側から提案されたものを台湾側が拒否しているのに、その後
政権が替わったからやっぱり台湾名義でと、いうのもおかしな話では。
独立派の方々は、トランプが「次のオリンピックからアメリカは
United States of Trump で参加するぞ」と言ったら賛成するのだろうか。

ただ、両岸関係の妥協の産物?なので、将来台湾の国名が変わるような
事態になればオリンピック参加名義も併せて変更すべきなのでしょうが。

また、その他の結果は以下の通り。
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【7:降低火力發電量】 ⇒成立
「毎年平均少なくとも1%引き下げ」という方法で
火力発電所の発電量を徐々に引き下げる方法に同意するか否か。

【8:停建煤電設施】 ⇒成立
「あらゆる火力発電所あるいは発電機(深澳火力発電所の建設含む)の
新たな建設、拡充工事を停止する」というエネルギー政策の策定に同意するか否か。

【9:維持禁止進口日本核災地區食品】 ⇒成立
日本の福島県をはじめとする東日本大震災の放射能汚染地域、
つまり福島県及びその周辺4県(茨城県、栃木県、群馬県、千葉県)からの
農産品や食品の輸入禁止を続けることに同意するか否か。

【10:民法婚姻限定一男一女】 ⇒成立
民法が規定する婚姻要件が一男一女の結合に
限定されるべきであることに同意するか否か。

【11:不實施同志教育】 ⇒成立
義務教育の段階(中学及び小学校)で、教育部及び各レベルの学校が
児童・生徒に対して「性別平等教育法(=ジェンダー平等教育法)施行細則が
定めるLGBT教育を実施すべきではないことに同意するか否か。

【12:民法婚姻以外形式保障同志伴侶】 ⇒成立
民法の婚姻に関する規定以外の方法で、同性カップルが
永続的共同生活を営む権利を保障することに同意するか否か。

【13:東京奧運台灣正名】 ⇒不成立
台湾(Taiwan)の名称で、あらゆる国際競技大会や2020年東京五輪に
出場参加することに同意するか否か。

【14:婚姻平權】 ⇒不成立
民法の婚姻章が同性カップルによる婚姻関係を保障することに同意するか否か。

【15:性別平等教育】 ⇒不成立
「性別平等教育法」が義務教育の各段階でジェンダーの平等に関する教育を
実施するよう明記し、且つその内容が感情教育、性教育、LGBT教育などに
関する課程を盛り込むべきだとすることに同意するか否か。

【16:廢止「核電停運」】 ⇒成立
「電業法(日本の「電気事業法」に相当)」の第95条第1項「台湾にある
原子力発電所は2025年までにすべての運転を停止しなければならない」の
条文を削除することに同意するか否か。
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※結果は中央選挙委員会ウェブサイトより
 http://referendum.2018.nat.gov.tw/pc/zh_TW/IDX/indexFF.html
※日本語訳は台北駐日経済文化代表処ウェブサイトより
※【1】【2】は2004年、【3】~【6】は2008年に実施済み

日本関連では【9:維持禁止進口日本核災地區食品】が成立し、
これで今後2年間は解禁が難しくなりました。
(公民投票の結果は立法機関・行政機関を拘束します)

ちなみに、禁止継続に賛成が7,791,856票、反対は2,231,425票。
やっぱり食品安全問題にはシビアですね。

意外だったのは、同性婚関連。
賛成派による項目は全て不成立で、反対派の項目は全て成立するという
結果になりました。

例えば【14:婚姻平權】については、民法改正による同性婚実現に
賛成が3,382,286票、反対が6,949,697票。
中華圏だからなのか宗教観によるものか分かりませんが、なかなか保守的です。

ただ、台湾の最高裁は昨年”同性婚禁止は違憲”という憲法解釈を公表しており、
これに基き2年以内の法改正が命じられた訳ですが、
この件と今回の投票結果の整合性はどのように取っていくのでしょうか。

という訳で、ハードルを下げすぎたばかりにかなり成立してしまった公民投票。
政党という観点からすると、国民党が賛成する項目が全て成立しているのも驚きです。
だって、同性婚に賛成か反対かというのは普通に考えたら政党の人気によって
変わる訳がないと思うのですが、結局公民投票も組織票が肝なのかしら。

【16:廢止「核電停運」】なんて、蔡英文政権の目玉政策である
”2025年までに脱原発”に真っ向から対立してしまう内容ですが、
今後どう対応していくのか。

統一地方選での惨敗に加え、民進党政権には頭の痛い課題が山積みですね。


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