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新芳春茶行、趣ある老房子で台湾茶の歴史を知る
2020 / 07 / 20 ( Mon )

民生西路にある新芳春茶行。
この一帯が大稲埕と呼ばれていた頃に栄えていた茶商で、
建物内には当時台北最大とされた製茶工場もありました。
20190825新芳春01

創業者の王連河さんは1913年、16歳で父と共に福建から台湾へ。
父はそのビジネスパートナーであった王珍春さんと共同で芳春茶行を設立し、
主に東南アジアへ包種茶を輸出します。
その後、故郷である福建の治安悪化に伴い王家は台湾へ移住。
1919年に芳春茶行のパートナーシップは解消されますが、
代替わりした王連河さんが1932年に設立したのが新芳春茶行です。

19世紀末から長らく盛況を見せていた台湾の茶貿易ですが、
1980年代以降は輸出量が減り、規模がシュリンク。
新芳春茶行も2004年には事業を完全に停止します。
その後、2009年に台北市がこの建物を古跡に指定。
台灣文創發展基金會によりリノベーションされ、現在は一般公開されています。

1階には数ヶ月毎に内容が変わる展示スペース(後述)と製茶設備が。

こちらは焙煎室。
現在は機械を使うのが一般的ですが、昔はより熱くて大変だったのでしょうね。
20190825新芳春52

なおこれは福建の伝統的な焙煎方法で、まず炉の底に木炭を敷きつめ、
その上に焼いた籾殻を被せ火をつけて灰にするのだそう。
これで煙が茶葉に触れにくくなるのだとか。
それから、茶葉を入れた籠を炉に載せて焙煎するのだそうです。

こちらは風選機。他にも色々な製茶設備が残っていますよ。
20190825新芳春55

2階に上がると書店があります。
20190825新芳春74

面白そうな中国茶関連の本もたくさん。
20190825新芳春73

本以外にも、
20190825新芳春75

古そうな茶器や当時の茶商で使われていたポスターやそろばんまで、
素敵にディスプレイされています。台灣文創發展基金會あるある。
20190825新芳春64

書店にはお茶を頂けるスペースも。
20190825新芳春78

茶葉貿易で栄えていた頃の大稲埕に思いを馳せながら、
木柵の正欉鉄観音と梨山茶を頂きます。
20190825新芳春77

(新芳春自体は既に事業を閉じていますが、
台湾各地の有名な茶人の精製したお茶を自社パッケージで販売しています)

さて、こちらに伺ってみて面白かったのが1階の展示です。

3月に伺った際は「九二一大地震20周年・台灣岩礦壺名家大展」。
20200317新芳春01

落ち着いた雰囲気の壺がずらり。
20200317新芳春04

お茶の味にどう影響するのでしょうか。気になる〜。
20200317新芳春06

ちなみに、游正民老師「愛台灣系列」の野柳・クイーンズヘッド壺も
展示予定だったそうですが、私が行った日は見当たらず。溢れ出る台湾愛。
游正民愛台灣系列野柳女王頭

そして、昨年8月に見たのは「芳春・茶徑 臺茶流金歳月展」。
清代から日本時代を経て現代に至るまでの、台湾茶輸出の歴史を辿る内容です。
20190825新芳春03

1900年のパリ万博で台湾産烏龍茶が最優秀賞を受賞。こちらはその証書です。
日本パビリオンには様々な台湾産の品が並べられており、お茶に関しては
呉文秀さんという茶商が台湾を代表して出品したのだそう。
20190825新芳春28

日本時代に使われていた茶缶。
タイへ包種茶を輸出する際に使用されていた絵柄だそうです。
20190825新芳春20

茶葉輸出用の木箱。
こちらも日本時代のものだそう。よく残っていますよね。
20190825新芳春42

台湾の茶業に関する冊子なども。
20190825新芳春26

こちらは台湾産烏龍茶と紅茶の宣伝用ポスター。
20190825新芳春32

包種茶の飲み方の説明書。
”少量の烏龍茶または紅茶を混ぜるとより一層風味が良くなる”とのこと。へえ~。
20190825新芳春18

包種茶は現在では烏龍茶に分類されますが、
発酵度が低いため昔は区別されていました。
今でも英語では Light Oolong と言ったりもします(一般的にはPouchong)。

「緑茶一杯、興亜の力」
お茶の展示・品評会のチラシだそうですが、こんなところにまで大東亜共栄圏。
勇ましいわ〜。あ、北朝鮮の作風の原点はこれか。
20190825新芳春61

戦後、台湾は中華民国に。
20190825新芳春35

飾り気のないシンプルな茶缶が展示されていました。
20190825新芳春37

輸出用木箱に付けていた、目的地を示すプレート。
「SPECIAL FOR RYUKYUS」とあります。
ちなみに、台湾では今も「沖縄」より「琉球」という呼称が一般的。
20190825新芳春15

新芳春を創業した王家の親族のうち、フィリピンへ移住した方々のアドレス帳。
20190825新芳春09

ちなみに、当時は包種茶を大量に東南アジアへ輸出しており、
あの有記名茶(1890年創業、現在5代目)の2代目はタイに渡り、
3代目が台湾からタイ向けに包種茶を輸出していたのだとか。
当時、有記名茶の茶葉はタイ市場の5割を占めるほどだったそうで、包種全盛期ですね。
なお、有名な奇種烏龍茶は包種茶を安渓の伝統的な方法で焙煎したもの。

台湾に中国からお茶の苗が持ち込まれ、栽培が始まったのは18世紀末と言われています。
台湾茶の歴史においてターニングポイントの一つとなるのが、
イギリス人商人ジョン・ドッドが艋舺(現在の萬華)に製茶工場を作った1868年。
ここから台湾での茶葉の精製が可能になり、翌1869年、「FORMOSA TEA」は初めて
直接ニューヨークへ向けて海を渡った訳ですが、この200年余りに渡る台湾茶の歴史を
貴重な展示物を見ながら振り返ることができ、とても面白い展示でした。
(しかもこちらは入場無料なのです。ありがたや。)

今後はどのような展示を予定しているのでしょうか。
台湾へ行けるようになったら、またこちらで展示を見て2階でお茶休憩したいと思います。

◆新芳春茶行
住所:台北市大同區民生西路309號
電話番号:02-2550-4141
営業時間:10:00~18:00(月曜定休) #コロナの影響で短縮中


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